墓じまいする人は年間15万人超|「うちもそろそろ」と感じたら知っておきたい数字
「墓じまいって、最近よく聞くようになったな」
そう感じている方は多いと思います。自分もそうでした。
親を見送ったあと、ふと「この先、お墓を誰が管理するんだろう」と考えるようになりました。同じように考えている方がどのくらいいるのか。実際にどれくらいの人が墓じまいをしているのか。
この記事では、厚生労働省・文化庁・総務省などの公的データをもとに、お墓をめぐる現状を数字で整理しました。
改葬件数は年間15万件を超えた
「改葬」とは、お墓からご遺骨を別の場所に移すこと。いわゆる「墓じまい」はこの改葬に含まれます。
厚生労働省の衛生行政報告例によると、改葬件数は年々増加しています。
| 年度 | 改葬件数 |
|---|---|
| 2012年 | 約8.8万件 |
| 2015年 | 約9.2万件 |
| 2018年 | 約11.6万件 |
| 2020年 | 約12.1万件 |
| 2022年 | 約15.1万件 |
出典:厚生労働省「衛生行政報告例」各年度
10年間で約1.7倍に増加。年間15万件を超えたのは過去最多です。
「墓じまい」という言葉が一般に広まったのはここ数年ですが、データを見ると、実際に行動に移している人は着実に増えています。
なぜ墓じまいが増えているのか
改葬が増えている背景には、いくつかの構造的な変化があります。
1. 公営墓地の58.2%に無縁墓が存在
総務省行政評価局の調査によると、全国の公営墓地のうち58.2%で無縁墓が確認されています。
無縁墓とは、管理する人がいなくなったお墓のこと。少子高齢化・核家族化が進む中、「お墓を継ぐ人がいない」という問題は、もはや一部の家庭だけの話ではありません。
2. 寺院数は約77,000ヶ寺
文化庁の宗教統計調査によると、全国の仏教系寺院は約77,000ヶ寺。
一方で、住職のいない「無住寺院」は増加傾向にあり、地方を中心に寺院の存続自体が課題になっています。「檀家であり続けたくても、お寺がなくなるかもしれない」という現実もあります。
3. 多死社会の到来
厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の年間死亡数は約158万人。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年頃に約170万人でピークを迎えるとされています。
亡くなる方が増えれば、それだけお墓の問題に直面する家庭も増えます。改葬件数の増加は、今後もしばらく続くと考えられます。
火葬場の稼働率:関東は92.5%
少し話がそれますが、関連するデータとして火葬場の稼働状況も紹介します。
厚生労働科学研究のアンケートによると、火葬場の全国平均稼働率は81.9%。関東地方に限ると92.5%という高い水準です。
「すぐに火葬できない」「数日待たされた」という話を聞くことがありますが、データを見ると都市部では実際に逼迫していることがわかります。
これはお墓の話に直接つながります。火葬後のご遺骨をどうするか——従来型のお墓に納めるのか、散骨や樹木葬を選ぶのか。その選択肢が広がっていることも、改葬増加の一因です。
散骨という選択肢:施行件数は1,700件超
お墓の代わりに選ばれることが増えているのが、海洋散骨です。
日本海洋散骨協会のデータによると:
| 年度 | 施行件数 |
|---|---|
| 2021年 | 1,049件 |
| 2023年 | 1,709件 |
2年間で約1.6倍に増加しています。認知度も93%に達しており、「知っているけどまだ検討段階」という方が多い状況です。
費用は5万〜30万円程度で、お墓の維持費(年間管理料、お布施など)が不要になることも選ばれる理由の一つです。海洋散骨も含めたお墓以外の選択肢については、墓石の値段はいくら?の記事でまとめています。
葬儀形態の変化:家族葬が主流に
鎌倉新書「お葬式に関する全国調査」によると、葬儀の形態も大きく変化しています。
| 形態 | 平均費用 |
|---|---|
| 一般葬 | 161.3万円 |
| 家族葬 | 105.7万円 |
| 直葬・火葬式 | 36.3万円 |
出典:鎌倉新書「お葬式に関する全国調査」
家族葬が主流になりつつある中、お墓に対する意識も変わっています。「大きな葬儀をしない」→「大きなお墓も必要ない」→「散骨や樹木葬でいい」という流れは自然なものです。
「檀家をやめたい」は少数派ではない
ここまでのデータをまとめると:
| データ | 数字 |
|---|---|
| 年間改葬件数 | 15万件超(過去最多) |
| 公営墓地の無縁墓率 | 58.2% |
| 全国寺院数 | 約77,000(無住寺院が増加中) |
| 海洋散骨の施行件数 | 1,700件超(2年で1.6倍) |
| 年間死亡数 | 158万人(2040年に170万人予測) |
「お墓をどうするか」を考えている方は、決して少数派ではありません。むしろ、考えずにいられる方が少なくなっているのが現状です。
正解は一つではありません。従来のお墓を守り続ける選択も、墓じまいをして散骨や樹木葬に切り替える選択も、どちらも間違いではないと自分は思います。
大切なのは、数字を知った上で、自分の家庭に合った判断をすること。この記事がその参考になれば幸いです。
葬儀費用の全体像を知りたい方は、葬儀費用の相場はいくら?もあわせて読んでみてください。墓石の費用については墓石の値段はいくら?にまとめています。
この記事で引用したデータの出典:
- 厚生労働省「衛生行政報告例」各年度
- 総務省行政評価局「公営墓地に関する行政評価」
- 文化庁「宗教統計調査」
- 厚生労働省「人口動態統計」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
- 日本海洋散骨協会 統計データ
- 鎌倉新書「お葬式に関する全国調査」
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ソラ
数年前に親を家族葬で見送りました。葬儀・お墓・終活について、経験者の目線でわかりやすく情報を届けています。
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