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エンディングノートの書き方|何を書く?項目と書き方のコツをやさしく解説

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エンディングノートの書き方|何を書く?項目と書き方のコツをやさしく解説

「エンディングノート、買ったはいいけど何を書けばいいかわからない」

自分も最初はそうでした。ページを開いてみたものの、項目が多すぎて手が止まる。何から埋めればいいのか見当がつかず、そのまま引き出しにしまってしまった経験があります。

でも、親を見送ったあと、強く思ったことがあります。「何でもいいから、1行だけでも書いておいてほしかった」と。

銀行口座がどこにあるのか。保険に入っていたのか。葬儀はどうしたかったのか。何もわからないまま、ひとつずつ手探りで調べていくしかなかった。あの時間は、悲しみとは別の種類のつらさでした。

この記事では、エンディングノートに何を書けばいいか、そしてどう書き進めればいいかを、できるだけわかりやすく整理しています。専門家の解説ではなく、家族を送った側の視点から「これが書いてあったら助かった」と思う項目をまとめました。


エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自分の希望や情報を家族に伝えるために書き残しておくノートのことです。

遺言書のような法的効力はありません。その代わり、形式は自由で、誰でもいつでも書き始められるのが特徴です。

遺言書との違い

エンディングノート遺言書
法的効力なしあり
形式自由法律で定められた形式が必要
内容希望・情報・気持ちなど何でも主に財産の分配
費用ほぼ無料自筆証書遺言の保管3,900円〜、公正証書遺言は数万円〜
書き直しいつでも自由所定の手続きが必要

遺言書は財産の分配に法的な効力を持たせるためのもの。エンディングノートは、それ以外の「家族に伝えておきたいこと全般」をカバーするものです。

どちらか一方ではなく、両方あるのが理想ですが、まずはハードルの低いエンディングノートから始めるので十分です。

なぜ書いておく必要があるのか

親が亡くなったあと、自分が一番困ったのは「何がどこにあるかわからない」ことでした。

  • どの銀行に口座があるのか
  • 保険に入っていたのか、入っていたとしたらどの会社か
  • 葬儀の希望はあったのか
  • 連絡すべき人は誰なのか

こうした情報が1冊にまとまっていたら、どれだけ助かっただろうと思います。エンディングノートは、自分のためではなく「残される人」のために書くものだと、今は感じています。


エンディングノートに書く項目一覧

「何を書けばいいかわからない」という方のために、項目を一覧にまとめました。全部埋める必要はありません。書けるところだけ、少しずつで大丈夫です。

1. 基本情報

項目内容
氏名・生年月日戸籍上の正式な名前、旧姓がある場合はそれも
住所現住所と本籍地
血液型緊急時に必要になることがある
マイナンバー各種手続きで必要になる
健康保険証・介護保険証保管場所を記載

2. 緊急連絡先

項目内容
親族の連絡先名前・続柄・電話番号
友人・知人の連絡先万が一のとき知らせてほしい人
かかりつけ医病院名・担当医名・電話番号
弁護士・税理士相談先がある場合

自分の経験から言うと、この「連絡先リスト」が一番重要です。親が亡くなった直後、誰に連絡すればいいかわからず、古い携帯の電話帳を頼りに一件ずつ探していく作業は本当に大変でした。

3. 資産・財産の情報

項目内容
銀行口座銀行名・支店名・口座番号
証券口座証券会社名・口座番号
不動産所在地・名義
保険保険会社名・証券番号・受取人
年金年金番号・受給状況
借入金・ローン借入先・残高
クレジットカードカード会社名・番号

財産の情報は、相続手続きに直結します。口座が1つでもわからないと、金融機関への照会だけで何週間もかかることがあります。

4. デジタル資産

項目内容
スマートフォンのパスコードロック解除に必要
パソコンのパスワードログインに必要
メールアカウント重要な通知が届いている可能性
SNSアカウント死後の取り扱い希望(削除・残す等)
サブスクリプション月額課金サービスの一覧
ネット銀行・暗号資産通帳がないため、存在自体を家族が知らない場合がある

デジタル資産は「見えない財産」です。スマートフォンのロックが解除できないだけで、中の情報すべてにアクセスできなくなります。パスコードの記録は最優先で書いておきたい項目です。

5. 医療・介護の希望

項目内容
延命治療希望する・しない
臓器提供希望する・しない
介護の希望自宅・施設・その他
アレルギー・持病治療に必要な情報
服用中の薬薬の名前・処方元

これらは、本人の意思確認ができなくなったとき、家族が判断を迫られる項目です。「本人はどうしたかったのか」がわかるだけで、家族の精神的な負担は大きく軽減されます。

6. 葬儀・お墓の希望

項目内容
葬儀の形式一般葬・家族葬・一日葬・直葬
宗教・宗派特定の宗派があるか、無宗教か
呼んでほしい人参列してほしい人のリスト
遺影の写真使ってほしい写真の保管場所
お墓の希望墓石・樹木葬・散骨・納骨堂など
供養の形希望する供養のスタイル

葬儀の形式によって費用は大きく変わります。葬儀費用の相場については葬儀費用の相場はいくら?家族葬で親を見送った自分が伝えたいことにまとめています。

お墓の費用についても、事前に調べておくと判断材料になります。

7. 家族・大切な人へのメッセージ

項目内容
家族への言葉感謝・伝えたいこと
友人への言葉伝えたいこと
ペットのこと引き取り先の希望、世話の仕方

法的な効力はなくても、残された家族にとってこのページが一番大きな意味を持つことは少なくありません。形式にこだわらず、ひと言でも書いておくと、それが家族の支えになることがあります。

なお、亡くなったあとの遺品整理で家族が困らないためにも、物の場所や処分の希望をノートに書いておくことには大きな意味があります。遺品整理の始め方も読んでおくと、何を書き残すべきかのヒントになります。


エンディングノートの書き方 — 5つのコツ

項目がわかっても、いざ書こうとすると手が止まる。そんなときのために、書き進めるためのコツを5つ整理しました。

コツ1: 全部埋めようとしない

エンディングノートの挫折原因の多くは「完璧に書こうとすること」です。

NPO法人ら・し・さの調査によると、エンディングノートの認知度は84.3%ですが、実際に持っている人は13.3%。知っているのに書けていない人がほとんどです。

まずは「緊急連絡先」と「銀行口座」だけ書いてみてください。この2つが書いてあるだけで、残された家族の負担は大幅に減ります。

コツ2: 鉛筆で書く

エンディングノートは書き直しが前提のものです。住所も電話番号も口座も、変わることがあります。

ボールペンで清書しようとすると書き直しに抵抗が出るので、鉛筆やフリクションペンで気軽に書くのがおすすめです。「下書きのつもり」くらいの気持ちで十分です。

コツ3: 年に1回見直す日を決める

書いて終わりではなく、定期的に内容を更新することが大切です。

おすすめは、誕生日や年末年始など、毎年決まったタイミングで見直すこと。口座の変更、保険の見直し、連絡先の追加など、1年の間に変わることは意外とあります。

コツ4: 保管場所を家族に伝える

せっかく書いても、家族がノートの存在を知らなければ意味がありません。

「エンディングノートはここに置いてある」ということだけは、必ず伝えてください。中身を見せる必要はありません。「あるよ」と伝えるだけで十分です。

コツ5: 一人で書かなくていい

配偶者や子どもと一緒に書くのもひとつの方法です。

「葬儀はどうしたい?」「お墓はどう考えている?」。こうした話題は、普段の生活ではなかなか切り出しにくいものです。エンディングノートを書くという「きっかけ」があることで、自然と家族で話し合えることがあります。


エンディングノートの選び方

市販のエンディングノート

書店やAmazonで500〜2,000円程度で購入できます。項目があらかじめ印刷されているので、「何を書けばいいか」で迷いにくいのがメリットです。

選ぶときのポイントは以下の3つです。

  • 項目の多さ: 多すぎると挫折しやすい。薄めのものから始めるのがおすすめ
  • 書き込みスペース: 自由記述の欄が広いと書きやすい
  • サイズ: A5〜B5サイズが持ちやすく、保管もしやすい

自治体の無料配布

お住まいの市区町村によっては、エンディングノートを無料で配布しています。役所の高齢者福祉課や地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

普通のノートに書く

専用のエンディングノートを使わなくても、普通の大学ノートで十分です。この記事の項目一覧を参考にして、自分のペースで書き進められます。

大事なのは形式ではなく、「書いてある」という事実です。


よくある質問(FAQ)

Q. エンディングノートはいつから書き始めるべき?

年齢の決まりはありません。気になったときが始めどきです。50代・60代から書く方も増えていますが、30代・40代で書いている方もいます。若いうちに書いたものは、あとから何度でも書き直せます。

終活全般の始め方については終活の始め方|何から始める?やることリストと手順をわかりやすく解説にまとめています。

Q. 書いた内容を家族に見せるべき?

見せるかどうかは本人次第です。ただし、ノートの「存在」と「保管場所」だけは必ず家族に伝えてください。中身を見せたくなければ、封筒に入れて「必要なときに開けて」と伝えるだけでも構いません。

Q. デジタルで書いてもいい?

スマートフォンやパソコンで作成しても構いません。ただし注意点があります。

  • 端末のロックが解除できないと、中身にアクセスできない
  • クラウドの場合、アカウント情報がわからないと同じく見られない
  • データは消えるリスクがある(バックアップが必要)

デジタルで書く場合でも、ログイン情報だけは紙に書いて別途保管するのがおすすめです。

Q. 書く気力が出ない場合はどうすれば?

1ページ全部を埋める必要はありません。今日は「かかりつけ医の名前」だけ。明日は「銀行口座の銀行名」だけ。これだけでも立派な一歩です。

1行書いたら閉じていい。そのくらいの気持ちで大丈夫です。

Q. 香典の金額を調べたいときは?

葬儀に関連して、香典の金額で迷うこともあると思います。関係性別の目安をまとめたツールがありますので、参考にしてください。


まとめ — 1行書くだけで、家族の「わからない」が減る

エンディングノートの書き方をまとめます。

書く項目(優先度順)

  1. 緊急連絡先 — 親族・友人・かかりつけ医の連絡先
  2. 資産・口座情報 — 銀行名・保険会社・証券会社
  3. デジタル資産 — スマホのパスコード・SNSアカウント
  4. 医療・介護の希望 — 延命治療・介護の方針
  5. 葬儀・お墓の希望 — 形式・宗派・参列者の範囲
  6. 家族へのメッセージ — ひと言でも

書き方のコツ

  1. 全部埋めようとしない
  2. 鉛筆で書く(書き直し前提)
  3. 年に1回見直す
  4. 保管場所を家族に伝える
  5. 一人で書かなくていい

自分は親を見送ったあと、「なんでもいいから書いておいてほしかった」と何度も思いました。口座の情報でも、連絡先でも、葬儀の希望でも。たった1行の情報が、残された家族にとっては何時間もの負担を減らしてくれます。

全部書ける必要はありません。今日できることは、ノートを開いて1つだけ書いてみること。それだけで十分です。


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数年前に親を家族葬で見送りました。葬儀・お墓・終活について、経験者の目線でわかりやすく情報を届けています。

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