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終活の始め方|何から始める?やることリストと手順をわかりやすく解説

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終活の始め方|何から始める?やることリストと手順をわかりやすく解説

「終活って、何から始めればいいんだろう」

自分がこの言葉を意識したのは、親を見送ったあとでした。葬儀の手配、お墓のこと、相続の手続き。どれも初めてで、何をどの順番で進めればいいのかわからないまま、ひとつずつ対処していくしかなかった記憶があります。

あの時「先に知っておけばよかった」と思ったことは、たくさんありました。

この記事では、終活でやるべきことを手順に沿って整理しています。専門家の解説ではなく、実際に家族を送った経験から「これだけは押さえておきたい」と感じたことをまとめました。全部を一度にやる必要はありません。できるところから、少しずつで大丈夫です。


終活とは? — 言葉の意味と背景

「終活」とは、人生の終わりに向けた準備や活動のことです。2009年ごろから使われ始めた言葉で、もともとは週刊誌の連載がきっかけだったといわれています。

ただ、「終わりの準備」というと少し重く聞こえるかもしれません。自分は、終活を「残された家族が困らないようにしておくこと」だと捉えています。実際に親を見送ったとき、一番つらかったのは悲しみそのものよりも、「何をすればいいかわからない」状態に置かれたことでした。

終活が必要とされる背景

日本は世界でもっとも高齢化が進んだ国です。内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、2024年10月時点の高齢化率(65歳以上の割合)は29.3%。約3.4人に1人が65歳以上という計算です。

さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年前後に年間死亡数が約167万人のピークを迎えるとされています。いわゆる「多死社会」です。火葬場の逼迫、葬儀費用の高騰、お墓の継承問題など、すでに影響は出始めています。

2040年問題と終活の関係については、以下の記事でデータをまとめています。

終活への関心は高い。でも「やっていない」

終活という言葉の認知度は9割以上に達しています。しかし、実際に終活を始めている人はどれくらいいるのでしょうか。

ハルメクホールディングスの「終活に関する意識・実態調査 2025」(全国の50〜79歳男女2,016名対象)によると、終活を「すでに始めている」と答えた人は44.0%でした。半数以上がまだ手をつけていないということです。

また、同調査では終活をすでに始めている人のほうが幸福度・生活満足度が高いという結果も出ています。「やらなきゃ」というプレッシャーではなく、「やったら少し安心できた」という感覚に近いのかもしれません。


終活でやること一覧 — チェックリスト

終活でやることは多岐にわたりますが、大きく分けると以下の6つです。まずは全体像を把握して、気になるところから手をつけていくのがおすすめです。

ステップやること目安の優先度
1エンディングノートを書く★★★(最初の一歩)
2葬儀について考える★★★
3お墓・供養の形を決める★★☆
4相続・財産の整理★★★
5保険・契約の見直し★★☆
6デジタル終活(SNS・サブスク等)★★☆

どれも「完璧にやる」必要はありません。大事なのは、家族が困らない程度に情報を整理しておくことです。


ステップ1: エンディングノートを書く

終活の第一歩として、多くの人がすすめるのがエンディングノートです。自分もそう思います。

エンディングノートとは、自分の希望や情報を書き残しておくためのノートです。遺言書のような法的効力はありませんが、残された家族が「まず何をすればいいか」で迷わなくなるという大きなメリットがあります。

最初に書いておきたい項目

全部埋めようとすると手が止まります。自分がまず書いたのは、以下の3つだけでした。

  • 緊急連絡先リスト(親族・友人・保険会社・かかりつけ医)
  • 銀行口座・保険の一覧(どこに何があるか)
  • 葬儀の希望(家族葬がいい、派手にしなくていい等)

NPO法人ら・し・さの「第2回終活意識全国調査」(2024年調査)によると、エンディングノートの認知度は84.3%ですが、実際に持っている人は13.3%にとどまります。知っているけどやっていない、という状態がほとんどです。

完璧を目指す必要はありません。1ページだけ書いてみる。それだけで十分な第一歩です。具体的な書き方や項目についてはエンディングノートの書き方で詳しく解説しています。

エンディングノートの入手方法

  • 市販のエンディングノート(書店や通販で500〜2,000円程度)
  • 自治体が無料配布しているもの(お住まいの市区町村に問い合わせ)
  • 普通のノートに自分で書く

どれを使っても構いません。大事なのは形式ではなく、「書いてある」という事実です。


ステップ2: 葬儀について考える

親を見送ったとき、自分がもっとも準備不足を感じたのが葬儀でした。亡くなった直後に「葬儀社はお決まりですか?」と聞かれて、何も答えられなかった。あの焦りは今でも覚えています。

葬儀の形式を知っておく

葬儀にはいくつかの形式があります。

形式特徴費用目安
一般葬通夜・告別式を行う従来の形式150〜200万円
家族葬家族・親族のみで行う小規模な葬儀30〜100万円
一日葬通夜を省略し、告別式のみ行う30〜70万円
直葬(火葬式)式を行わず火葬のみ10〜30万円

自分は家族葬を選びました。費用は10万円前後。大きな式は行わず、家族だけで静かに見送りました。

葬儀費用の詳しいデータや相場については、以下の記事でまとめています。

葬儀社の選び方

元気なうちに、2〜3社の見積もりを取っておくだけでも安心感が違います。事前の見積もりは無料のところがほとんどです。

選ぶときに確認したいポイントは、料金の内訳が明確か、追加費用が発生しないか、対応エリアはどこか、といったことです。

香典返しのことも頭に入れておく

葬儀のあと、意外と負担になるのが香典返しです。相場やマナーを事前に知っておくだけでも、当日の判断がずいぶん楽になります。


ステップ3: お墓・供養の形を決める

お墓のことは、後回しにしがちな話題のひとつです。自分もそうでした。でも、いざというときに「お墓をどうするか」で家族が揉めるケースは少なくありません。

お墓の選択肢は広がっている

従来のお墓(墓石)以外にも、今はさまざまな供養の形があります。

供養の形特徴費用目安
一般墓(墓石)従来型。継承者が必要100〜300万円
樹木葬墓石の代わりに樹木を墓標とする5〜100万円
永代供養寺院や霊園が永続的に管理5〜150万円
海洋散骨海に遺骨を撒く5〜30万円
納骨堂室内の施設に遺骨を安置10〜150万円

鎌倉新書の調査によると、近年は樹木葬が購入されたお墓の約半数を占めています。「承継者不要」の供養を選ぶ方が増えているのが今のトレンドです。

墓じまいという選択肢

「実家のお墓を継ぐ人がいない」という問題も増えています。厚生労働省の統計では、改葬(墓じまい)の件数は2023年度に全国で約16.7万件。20年前と比べて4倍以上に増えました。

お墓に関する費用やデータは、以下の記事で詳しくまとめています。


ステップ4: 相続・財産の整理

相続は、終活の中でもとくにトラブルになりやすい分野です。「うちは財産が少ないから大丈夫」と思っていても、不動産が一つあるだけで揉めるケースは珍しくありません。

やっておきたいこと

  • 財産の棚卸し: 預貯金、不動産、株式、保険、借入金などをリストアップする
  • 遺言書の作成: 法的効力があるのは遺言書のみ。エンディングノートでは代用できない
  • 相続人の確認: 誰が相続人になるかを把握しておく

遺言書の種類

種類特徴費用
自筆証書遺言自分で手書き。法務局での保管制度あり保管申請手数料3,900円
公正証書遺言公証人が作成。確実性が高い数万〜十数万円

自分の場合、親の相続では負債の相続放棄を経験しました。催促の手紙が届いたり、知らない人が訪ねてきたり。「何が起きているのかわからない」という状況が一番つらかったです。

財産の全体像を家族が把握できるようにしておくだけで、残された側の負担は大きく減ります。最高裁の司法統計では、相続放棄は2024年に年間30万件を超え、亡くなった方のうち約5.5人に1人が放棄される時代になりました。背景と「残される家族に放棄させない」ための備えは相続放棄は年間30万件超|「残す側」が知っておきたい数字と備えにまとめています。


ステップ5: 保険・契約の見直し

保険や各種契約の整理も、見落としがちな終活のひとつです。

確認しておきたい項目

  • 生命保険: 加入中の保険の内容と受取人を確認。不要な保険を解約する
  • 医療保険: 現在の健康状態に合った内容か見直す
  • 年金: 受給状況と、遺族年金の対象になるか確認する
  • サブスクリプション: 月額課金サービスの一覧を作成する
  • クレジットカード: 使っていないカードは解約する

とくに保険は、加入しているだけで安心してしまい、内容を確認していないというケースが多いです。受取人が元配偶者のままだった、という話も珍しくありません。

一覧表を作って、エンディングノートに挟んでおくだけでも十分です。


ステップ6: デジタル終活

最近とくに重要性が増しているのが「デジタル終活」です。スマートフォンやパソコンの中に、家族が知らない情報がたくさん眠っている時代です。

整理しておきたいデジタル資産

  • スマートフォン・パソコンのパスワード: ロック解除ができないと、中の情報にアクセスできない
  • SNSアカウント: Facebook、X(旧Twitter)、Instagram等の取り扱い
  • メールアカウント: 重要な連絡が届いている可能性がある
  • クラウドストレージ: GoogleドライブやiCloudに保存された写真・書類
  • サブスクリプション: Netflix、Spotify、各種アプリの月額課金
  • ネット銀行・証券口座: 通帳がないため、存在自体を家族が知らない場合がある
  • 暗号資産(仮想通貨): ウォレットの情報がないと引き出せない

デジタル終活でやること

  1. パスワード一覧を作成する(紙に書いて封筒に入れ、信頼できる人に預ける)
  2. 不要なアカウントを削除する(使っていないSNSやサービス)
  3. 死後のアカウント設定を確認する(Googleには「アカウント無効化管理ツール」、Facebookには「追悼アカウント管理人」の設定がある)

デジタル資産は目に見えないため、本人以外が把握するのが非常に難しい分野です。だからこそ、元気なうちに整理しておく価値が大きいのです。


終活を始めるタイミング — 「早すぎる」はない

「終活はいつ始めればいいのか」。よく聞かれる質問ですが、答えはシンプルです。気になったときが、始めどきです。

実際、終活を始める年齢は年々若くなっています。50代、60代から始める人も増えています。理由は明確で、元気なうちのほうが冷静に判断できるからです。

病気になってからでは、考える余裕がなくなります。認知症が進んでからでは、遺言書の作成自体ができなくなる可能性もあります。

自分自身、親を見送った経験から言えるのは、「もっと早く準備しておけばよかった」という後悔は残っても、「早く準備しすぎた」という後悔はないということです。


よくある質問(FAQ)

Q. 終活は何歳から始めるべき?

決まった年齢はありません。ただ、判断力があるうちに始めるのが理想です。50代から始める方も増えています。「この記事を読んでいる今」が始めどきです。

Q. エンディングノートと遺言書の違いは?

エンディングノートには法的効力がありません。希望や情報を家族に伝えるためのものです。一方、遺言書は法的に有効な文書で、相続の分配を指定できます。両方用意しておくのが理想ですが、まずはエンディングノートから始めるのがハードルが低いです。

Q. 終活にかかる費用はどれくらい?

ハルメクホールディングスの調査(2025年)によると、終活にかかった費用は平均約503万円です。ただし、これにはお墓の購入や葬儀の事前契約なども含まれています。エンディングノートを書くだけなら、ほぼ費用はかかりません。

Q. 一人暮らしでも終活は必要?

むしろ、一人暮らしの方こそ終活は重要です。いざというとき、近くに頼れる家族がいない場合、事前の準備がすべてを左右します。緊急連絡先の整理、かかりつけ医の共有、財産情報のまとめは最低限やっておきたいところです。

Q. ペットがいる場合、終活で何をすればいい?

ペットの引き取り先を決めておくことが大切です。また、もしペットが先に亡くなった場合の火葬や供養についても考えておくと安心です。


まとめ — 終活は「残す人」のためにできること

終活でやることを改めて整理します。

  1. エンディングノートを書く — まずは連絡先と財産リストだけでOK
  2. 葬儀について考える — 形式の希望と葬儀社の目星をつける
  3. お墓・供養の形を決める — 家族と一度だけ話しておく
  4. 相続・財産の整理 — 遺言書の作成を検討する
  5. 保険・契約の見直し — 一覧表を作ってノートに挟む
  6. デジタル終活 — パスワードと不要アカウントの整理

全部を一度にやる必要はありません。今日できることは、エンディングノートに1行だけ書いてみること。それだけで十分です。

自分が親を見送ったとき、「知っていれば」「準備していれば」と思うことがたくさんありました。この記事が、あの時の自分のように困っている誰かの役に立てばうれしいです。


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数年前に親を家族葬で見送りました。葬儀・お墓・終活について、経験者の目線でわかりやすく情報を届けています。

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