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デジタル遺言(保管証書遺言)とは?スマホで作成OK・いつから使えるかを整理【2026年閣議決定】

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デジタル遺言(保管証書遺言)とは?スマホで作成OK・いつから使えるかを整理【2026年閣議決定】
この記事のポイント
  • デジタル遺言(保管証書遺言)はPC・スマホで遺言を作成できる新制度で、2026年4月に民法改正案が閣議決定された
  • 施行は2028〜2029年ごろの見込み。マイナンバーカード+口述+法務局保管でなりすましを防ぐ設計
  • 自筆証書遺言の「全文手書き」のハードルを下げつつ、検認不要・証人不要という利便性がある
  • 今すぐ使える制度ではないが、エンディングノートや財産一覧の準備は今日から始められる

2026年4月3日、遺言をスマートフォンやパソコンで作成できるようにする民法改正案が閣議決定されました。メディアでは「デジタル遺言」と呼ばれていますが、正式には「保管証書遺言」という新しい遺言の形式です。

自分は遺言を書いたことがありません。親を見送ったとき、遺言はありませんでした。「書いてほしかった」とも「書かなくてよかった」とも思わなかったけれど、自分自身のこととして考えると、正直なところ「いつか書かないといけないんだろうな」と思いながら先送りしています。

この記事では、デジタル遺言とは何か、従来の遺言とどう違うのか、いつから使えるのかを、専門家ではない自分なりに整理してみました。

デジタル遺言(保管証書遺言)とは?

デジタル遺言とは、パソコン・スマートフォン・タブレットで遺言の全文を作成できる新しい制度です。

現在の法律では、自筆証書遺言は「全文を自分の手で書く」ことが要件になっています。高齢で手が思うように動かない方や、長文を書くのが体力的に難しい方にとって、これはかなりのハードルです。

新制度では、デジタル機器で作成した遺言を法務局に保管することが義務づけられます。さらに、本人が対面またはウェブ会議で担当職員に内容を口述する手続きが必要です。「スマホでぱぱっと作って終わり」ではなく、本人確認と内容確認を経た正式な遺言になります。

従来の遺言との違い

現在使える遺言は大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。デジタル遺言が加わると、選択肢は3つになります。

項目自筆証書遺言公正証書遺言デジタル遺言(保管証書遺言)
作成方法全文を自筆(財産目録はPC可)公証人が口述を筆記PC・スマホで作成
費用無料(保管制度利用で3,900円)数万円〜(財産額に応じる)未定
保管場所自宅 or 法務局公証役場法務局(義務)
証人不要2人必要不要(職員が口述確認)
本人確認なし(保管制度利用時はあり)公証人が確認マイナンバーカード+口述
検認必要(保管制度利用時は不要)不要不要

自筆証書遺言は費用がかからない代わりに「全文手書き」のハードルがあり、公正証書遺言は公証人が関わる安心感がある代わりに費用と手間がかかります。

デジタル遺言は、自筆のハードルを下げつつ、法務局保管で安全性を確保する仕組みです。

いつから使える?

2026年4月3日に閣議決定された段階で、まだ使うことはできません。

国会での審議を経て成立した場合、施行は「公布の日から3年を超えない範囲」とされています。法務局側のシステム整備も必要なため、実際に使えるようになるのは早くても2028年〜2029年ごろと見られています。

時期状況
2024年2月法制審議会 民法(遺言関係)部会が審議開始
2026年1月法制審議会が要綱案を取りまとめ
2026年2月法制審議会が法務大臣に答申
2026年4月3日民法改正案を閣議決定
2026年〜国会審議
2028〜2029年ごろ施行見込み(公布から3年以内)

「来年からスマホで遺言が書ける」というわけではない点は注意が必要です。

なりすましや偽造はどう防ぐ?

デジタル遺言の最大の懸念は、「本当に本人が書いたのか」を証明しにくいことです。手書きなら筆跡鑑定ができますが、デジタルデータにはそれがありません。

制度設計では、以下の仕組みでこのリスクに対処しています。

マイナンバーカードによる本人確認。遺言データの提出時に、マイナンバーカードを用いた厳格な本人確認が行われます。

対面またはウェブ会議での口述。本人が法務局の担当職員に対して、遺言の全文を口頭で読み上げます。第三者が勝手に作成・提出することを防ぐ仕組みです。

法務局での保管。作成後のデータは法務局が保管するため、改ざんのリスクが軽減されます。

「ウェブ会議で口述する」仕組みは、自宅にいながら手続きが完結するメリットがあります。一方で、「ウェブ会議でなりすましを本当に見抜けるのか」という声もあり、今後の国会審議で議論が深まるところです。

遺言を書いたことがない自分が、今からできること

デジタル遺言が使えるようになるのはまだ先の話です。でも、「遺言を書こう」と思ったタイミングで準備を始めておくことはできます。

エンディングノートを書いてみる。遺言のように法的効力はありませんが、自分の考えを整理する練習になります。何を誰に残したいか、葬儀はどうしてほしいか。書いてみると、意外と決めていないことが多いことに気づきます。書き方が気になる方はエンディングノートの書き方|何を書く?項目と書き方のコツをやさしく解説を参考にしてみてください。

自分の財産を一覧にしてみる。銀行口座、保険、不動産、デジタル資産(ネット証券やサブスク契約)。全部書き出してみると、家族が把握していないものがいくつもあるはずです。

今すぐ遺言が必要な場合は、現行制度を使う。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」なら、手書きで作成した遺言を法務局に預けることができます。費用は3,900円です。

終活全体の進め方が気になる方は、終活の始め方|何から始める?やることリストと手順をわかりやすく解説もあわせてどうぞ。

まとめ

  • デジタル遺言(保管証書遺言)は、PC・スマホで遺言を作成できる新しい制度
  • 2026年4月3日に民法改正案が閣議決定。施行は2028〜2029年ごろの見込み
  • なりすまし対策として、マイナンバーカード+口述+法務局保管が組み込まれている
  • 今すぐ使えるわけではないが、エンディングノートや財産一覧の準備は今日からできる

親を見送ったとき、遺言がなかったことで困ったわけではありませんでした。でも、「もし自分に何かあったとき、家族はどうするんだろう」と考えると、少しだけ不安になります。

デジタル遺言の制度が整えば、遺言を書くハードルは確実に下がります。自分もその時が来たら、まずはスマホで作ってみようと思っています。

参考資料

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数年前に親を家族葬で見送りました。葬儀・お墓・終活について、経験者の目線でわかりやすく情報を届けています。

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